減価償却方法と選択基準
(1)減価が主として時の経過を原因として発生する
期間を基準に配分する(定額法、定率法、級数法)
(2)減価が主として固定資産の利用に比例して発生する
生産高(利用高)を基準に配分する(生産高比例法)
(3)選択基準
費用の発生を物量的に把握できない場合には、先験的に減価償却費を計算するしかないので、定額法等のように取得原価を一括した期間を基準に配分する方法が妥当です。
一方、費用の発生を物量的に把握できる場合には、経験的に減価償却費を計算できるので、生産高比例法のように利用高を基準に配分する方法が妥当です。
(1)意義
毎期同額の減価償却費を計上する方法
(2)特徴
・計算が簡便である
・償却費の負担が毎期平均化される
・時間の経過につれて生産能率が低下し、修繕費等が逓増するような固定資産の場合、固定資産に関する費用の負担が毎期逓増してしまう。
・減価償却費計算の自動修正能力を備えていない。
(1)意義
固定資産の未償却残高(簿価)に一定率を乗じて減価償却費を計上する方法
(2)特徴
・有形固定資産の使用初期に多額の減価償却費が計上される。年数を経るにつれて減価償却費は低減していく
・新旧多数の固定資産を有する場合、全体としての減価償却費は毎期平均化される。
・時間の経過につれて生産能率が低下し、修繕費等が逓増するような固定資産の場合、固定資産に関する費用の負担が毎期平均化される。
・減価償却費計算の自動修正能力を備えている。
(3)定率法の論拠
①収益獲得に対する貢献度の逓減
機械装置のように、初期の頃収益獲得に対する貢献度が大きいが、中古品になるにつれて収益獲得に対する役立ちが低減する固定資産があります。
このような固定資産については、初期に減価償却費を多く計上し、その後においては低減的に減価償却費を計上すべきと考えるものです。
②期間負担の平準化
固定資産の多くは使用が進むに従い、修繕費が逓増する傾向にあることから、この場合には減価償却費を低減的に計算し、修繕費と減価償却費の合計額が均等になるように固定資産の費用を計上すべきと考えられます。
この考え方は、伝統的に、費用の期間負担の平準化を図ることにより、毎期の利益の期間比較性が確保されるという観点から支持されてきました。
(4)定率法の採用状況
近年、国際会計基準を採用する企業で減価償却方法を定率法から定額法に変更する企業が増えてきました。
(1)生産高比例法とは
生産高あるいは利用高を基準に減価償却する方法
減価が固定資産の利用に比例して発生し、総利用高をほぼ正確に推定できる場合に限定されます。
したがって鉱山業用の減価償却資産について適用できます。
(2)生産高比例法が利用できる要件
①減価が主として固定資産の利用に比例して発生する
②固定資産の総理用可能量が物理的に確定できる
※そのため、陳腐化・不適応化という機能的減価が生じやすい場合には利用できません。
(3)生産高比例法の特徴
伝統的に、費用収益の正確な対応、すなわち生産高(収益)とそのコスト(費用)の対応化を図った計算が可能になります。