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変動費型企業と固定費型企業

変動費と固定費のパターン

 企業の固定費と変動費のパターンを分類しますと次の2つが注目すべきパターンとして挙げられます。
(1)固定費が多く、変動費率が低いパターン
  電力産業や鉄鋼産業のように大規模装置が必要となる産業に属する企業がこのケースです。このケースでは変動費率が少ない(限界利益率が高い)ために、売上が伸びれば利益の伸びも多くなります。ただし、逆に考えますと、売上が減少したときの利益の減少も大きくなるということです。
 また、多額の固定費負担のために損益分岐点となる売上高が高くなるため、相当数以上の顧客がいなければ経営の継続が困難となるのが特徴です。そのため、新規参入の壁は高く、顧客が十分に獲得できればうま味のある事業となります。
このケースでは管理対象は多額に発生する固定費となります。しかしながら、固定費の削減はなかなか難しいところがあります。

(2)固定費が少なく、変動費率が多いパターン
  あまり設備は保有しないが、日常の運営に多くの経費を必要とするケースです。固定費負担があまりないので、新規参入が比較的容易ですが変動費が高いために売上の多くが変動費の負担で消えてしまいますので、売上高が伸びても利益の伸びはさほどありません。小売業等の事業等が該当します。
 このケースでは管理対象は変動費となります。

固定費型ビジネスの実例

(1)ホテルの宿泊料金
  ホテルの宿泊のケースで、宿泊客1人増えるにしたがい、追加的に発生するコストはほとんどわずかでしょう。そのため、1泊1万円の部屋でも極端にいえば1,000円の宿泊料をもらえば利益は増加しますので、部屋が余っているならば「当日の宿泊に限り、宿泊料50%オフ」とし、限界利益を増やすのも1つの方法です。

 ただし、「1,000円の宿泊料」というのはあくまで短期的な意思決定ではOKということであり、設備費用の回収も考えた長期的な意思決定ではあまり妥当とはいえないということに留意する必要があります。

(2)航空会社のマイレージサービス
  多くの航空会社が搭乗者に利用距離に基づくポイントを付与するというマイレージサービスを実施しています。
  飛行機も座席に余裕があるならば、搭乗者が1人増えても追加的に発生する原価はほとんどありません。そのため、原価ゼロで利用者に例えば日本全国往復運賃が無料といった価値が大きいサービスを提供することは、顧客に対する大きなセールスポイントとなり航空会社に大きな利益をもたらします。

 なお、家電量販店がポイントを発行し、そのポイントで買物ができるというサービスを実施しています。
 このポイントサービスとして顧客に提供されるのは家電量販店が対価を支払って購入した商品ですから、航空会社のマイレージサービスとは異なり、ポイントの付与の仕方では利益を損なう恐れがあります。

レベニューマネジメント

 レベニューマネジメントとは、製品等への需要を予測して販売価格を変化させながら、販売数量と販売単価の積であるレベニュー(収入)を極大化することです。米国の航空会社が発祥であり、固定費比率の高いホテル業界などでは定着しており、「イールド・マネジメント」と呼ばれることもあります。
 つまり、直近の需要動向や需要予測によって製品等への需要が増加すると見込めるなら販売価格を上昇させる、反対に製品等への需要が減少すると見込めるなら製品価格を減少させるという施策を講じることにより収入を極大化するというものです。