要は管理会計(経営管理会計)とは、企業等の存続成長のために行うべき施策の意思決定及び実行を支援するのがその役割です。
そして、そのために、管理会計の考え方はときに素朴な常識を覆します。
例えば、
(1)「売上高が2倍になれば利益は2倍になる」
⇒「×」です。コストには固定費が含まれているため、売上高(正確には売上数量・生産数量)が増加すると、製品1個あたり固定費が減少し、利益の伸びは売上高以上になります。
(2)「製品Aの利益が1000円で製品Bの利益が800円のとき、製品Aを製品Bより優先的に販売すべきである。
⇒製品Bの方の固定費割合が高ければ売上数量が増加すれば製品Aに対して製品Bの1個あたりの固定費の逓減額が大きくなりますので、生産量が変われば製品Aと製品Bの1個利益が変わってくるからです。
(3)「製品Aの原価は800円だ」
⇒(1)と(2)からおわかりの通り、製品原価は生産量が決まって製品原価が決まるという関係にあります。従いまして、生産量を所与とせず、「この製品の原価はいくら」と聴かれても答えようがないわけです。
(4)「不要の物品を捨てても廃棄損が出るだけで何の得にもならない」
そのために不要の固定資産や在庫を処分していない企業も少なくないのではと考えます。しかし、不要の物品を廃棄し廃棄損100万円を計上すれば、利益が100万円減少し、法人税等も30万円(実効税率30%と仮定)減少します。税金が30万円払わずに済んだと言うことは手元に30万円残ることと同様です。
すなわち、乱暴な言い方になりますが、物を捨てれば廃棄損の税効果を通じてお金が入るということになるわけです。