安瀬位分析とは、企業等がどれだけ倒産せず、継続して事業を営む力を有しているかの分析です。安全性分析のポイントは次のように述べることができます。
(1)短期的視点
短期のうちに支払わなければならない負債(流動負債)に対して、十分な支払い能力(流動資産または当座資産)を持っているか?
(2)長期的視点
長期にわたって使用する資産(固定資産)に対して、長期にわたって返済すればいい資金(資本)あるいは返済を要しない資金(自己資本)を投資しているか?
(3)貸借対照表のバランス
安定的な形(自己資本と借入資本のバランス)で資金調達を行なうことができているか?
【安全性分析の種類】
・株主資本比率
・固定比率、固定長期適合比率
・流動比率、当座比率
・インタレストカバレッジレシオ
株主資本比率は資金調達を株主からの拠出等で行った比率を表します。資本金は株主に返済する義務はありませんので、株主資本比率が高いほど経営は安定します。
ベンチャー企業等リスクが高い企業は金融機関からの貸出は受けられず、ベンチャーキャピタル(VC)や投資家からの資本参加に頼らざるを得ませんので、結果的に株主資本比率が高くなります。
固定比率とは純資産に対する固定資産の割合を示し、長期的に所有する固定資産の調達資金が返済義務のない株主資本で調達されている比率を表します。
換言すれば長期的に資金回収がなされる固定資産の資金調達には全額株主資本でまかなわれていることが望ましいため、固定比率は100%以下が望ましいといえます。
固定長期適合比率も表す内容は固定比率と同様です。ただし、固定資産の調達資金を株主からの拠出だけとするのは厳しすぎる面があるので、短期ではなく長期的に返済が行われる固定負債を分母に用いています。
固定長期適合比率も100%以下が望ましいとされています。
流動比率とは、短期的に現金流入が生じる流動資産と短期的に現金支出が生じる流動負債の割合で、短期的な支払能力がどの程度あるのかを表します。
流動比率はできれば120%以上が望ましいとされています(ただし、業種によって大きく異なります)。
当座比率とは流動比率と同様に企業の短期的な支払能力がどれくらいあるのかをあらわす比率です。当座資産とは現金預金、売上債権、有価証券等現金化がたやすい資産をいいます。
当座比率も流動比率と同様に高い方が望ましいですが、現金化に時間がかかる棚卸資産を含んでいないため、100%が1つの目安と考えられています。
インタレスト・カバレッジ・レシオとはこれまでの安全性分析比率とは異なり、損益計算書の数値を用いた比率です。
端的には本業で稼いだ利益が資金調達コストの何倍(何年分)あるのかを示す比率といえます。