今回は管理会計の分野について説明します。
管理会計の分野には業績評価と意思決定の2つがあります。
業績評価とは、自社のある部門の業績や、社員個人のパフォーマンスを評価することです。
比較対象は、前期と当期になります。
前期と比べて当期の部門や事業の業績がよくなっているのであればその分野を拡張していくし、悪くなっていれば縮小させていきます。
また社員個人のパフォーマンスの評価としては、たとえば部門長が頑張ったことを評価し、賞与をアップしたり昇格をさせたりするという話です。
逆にその部門の業績が悪かったら、部門長の給与や賞与を下げたり、場合によっては降格させたりすることもあるかもしれません。
つまり、どこかの部門や誰かのパフォーマンスを会計期間で比較して評価することが、業績評価なのです。
一方、意思決定とは、この業績評価を受けて今後どうするかを決めることになります。
たとえば顧客からの納入価格引き下げの要望があった場合に、どこまで受諾するかなどを決めることが、意思決定です。
また、自社で制作するか外部から購入するかといった意思決定が必要になることもあります。
これは工場でよくある話で、たとえば従業員が50人いるけれど仕事が30人分しかない状況で新たな工具が必要となった場合、余った20人でその工具を作るか、それとも購入するかということです。
会社は、そのどちらが得かという意思決定を行うことになります。
他に意思決定が必要になる場面として、巨額な資金を投じて新工場や店舗を建設するべきかなどがあります。
さて、抽象的な話では面白くないので、最後に、管理会計のポイントとなる例を一つ挙げます。
たとえば製品コスト1,000円の製品Aを大口新規企業が「800円なら1万個買ってあげる」と提案してきた場合に、どのような意思決定をしたらよいでしょうか。
コストは1,000円かかりますが、相手が言ってきた価格は800円です。
通常は「1,000円のものを800円で売ったら200円の損が出るから、やめたほうがいい」という判断になるかと思います。
しかしながら、この状況に管理会計の考え方を用いると、もっと違う考え方を説明できます。