今回は「儲ける」ということについて考えていきます。
「儲ける」という言葉は日常的に使いますので、色々な方が色々な使い方をされていると思いますが、今回は私なりに定義をして、そこから話を始めたいと思います。
私が考えた「儲ける」とは、利益をあげた上で、キャッシュ・フローを増やすことです。
どちらも儲ける上でとても大事なことだと考えます。
利益には、業績を測る物差しとしての役割があります。
銀行や税務署など外部の利害関係者にとって、会社の利益の金額は、株式を購入する判断基準や、税額を計算するための基準となります。
ですから、利益は業績を測る物差しとしては非常に大事です。
しかし、利益が1,000万あがったとしても、1,000万で何か物が買えるでしょうか。
もし仮に、1,000万円の利益が計上された時点で、社員に500万円賞与を支給し、残りの500万円で車や設備投資に充てようとしても、それはできません。
なぜなら、利益が計上されても手元にお金が入ったわけではないからです。
利益はお金に変えなければ、使うことができません。
1,000万円の利益は、それがお金に変わって初めて物を購入したり投資に充てたりすることができるのです。
したがって、利益をあげるだけではなく、それを「お金に代える」ということ、つまりキャッシュ・フローを増やすということが大事になります。
このことから、例え利益は上がってもおすすめできない施策として次の3つがあります。
(1)売上拡大を図るが回収は後にする
(2)商品仕入を増やし、売り物を増やす
(3)減価償却費を計上しない
(1)に関しては、売上をあげて利益を得ることだけを優先して、お金の回収をしないということです。
売上を増やせば利益を上げることはできますが、回収をしない限りはお金になりません。
売掛金がいつまでも現金にならず、使うことができない状態です。
そうすると私が定義する「儲ける」ことにはなりません。
(2)についてですが、商品を沢山仕入れることは、一見、儲けることに結びつきそうな気がします。
しかし売れる数は僅かです。
確かに利益は多少出るはずですが、仕入れにお金をたくさん使えば、手元にお金は残りません。
使えるお金が増えなければ、私が定義する「儲ける」ことにはなりません。
(3)の減価償却費とは、実際にはお金が出ていかない費用です。
減価償却費を計上しないことで、利益を多く計上することができますが、これもキャッシュ・フローを増やすことにはなりません。
むしろ減価償却費は計上した方が、費用が増えて利益が減り、結果として支払う税金も減ります。
税金が減るということは、結果的に手元に残るお金は増えます。
ただし、銀行からの借入金で使えるお金が増えたからといって、これは儲けることにはなりません。
借入金には、そもそも利益が計上されていないからです。
利益をあげた上で、キャッシュ・フローを増やすこと。
私の考える「儲ける」ことは、この2つが大事だと考えます。