《無料相談受付中》
  • TEL
    03-3803-5724
  • FAX
    03-6869-1564

売上返品・値引き業務の「守り」の視点

売上返品にかかるリスクと統制手続

(1)売上返品が営業社員のノルマ達成に基因する場合
  得意先から返品の連絡があっても、営業成績に跳ね返るのを恐れて、製品等と引き引き取りに行かないことも考えられます。
 そうなると、売上高の過大計上、棚卸資産の過少計上になってしまいます。

 そのため、販売責任者や経理担当者は顧客別・営業担当者別の返品金額・返品数の状況の推移を把握し、異常な増減があればその原因を追求すべきです。
 また、返品が多い企業の場合には売上返品を「売上高勘定のマイナス」として処理するのではなく、売上返品勘定を設けて売上返品が見える化する処理を行うこともあります。

(2)売上代金の着服のための返品
 得意先からの返品処理を装い、得意先からの入金予定額を減額する。一方、得意先からは返品がない金額で入金される。そうして返品額を着服するわけです。

売上値引にかかるリスクと統制手続

(1)製品等の魅力度低下による売上値引
 競合他社が自社製品より機能向上した新製品を販売した場合、自社の既存製品は苦戦を強いられ、値引き圧力が高まります。このように商品の競争力を値引き金額は示すともいえますので、商品ごとに値引きの推移を取り、売上値引を反映した商品ごとの売上総利益がマイナスあるいは一定率を下回った場合には直ちに生産中止の指示を出し、在庫分は早めに売り切り処分するべきです。

(2)得意先ごとの値引率の把握
 単純に考えれば得意先への売上高が増加すれば値引率も増加すると考えられます。そうすると、値引率と売上高のグラフを描き、得意先ごとにプロットすれば単純に言えば右上がりの近似曲線が描けることになります。
  しかしながら、その近似曲線とは離れたところにプロットされた得意先(例えば売上高は多くないのに値引率が高い)がもし発見されたなら、それは異常値としてその理由を追及すべきです。
  もしかしたら、異常値を排除するだけで全社的な値引率改善運動をしなくても値引率はかなり改善されるかもしれません。