(2)受注業務の内容
・顧客への見積提示)
・顧客からの注文書授受
・顧客マスタの照会(取引履歴、顧客別単価など)
・顧客の信用照会
・受注承認
・受注残管理
(3)受注業務に係る勘定科目
なし
(4)受注業務に係る帳票等
(見積書)
注文書
注文請書
契約書(基本契約書、個別契約書)
受注明細(組織担当者別、顧客別、商品別に検索可)
受注残ファイル
(5)受注業務に係る規程
販売管理規程
与信管理規程
職務分掌規程
(6)受注業務に係るシステムとマスタ
・価格マスタ
・顧客マスタ
・契約管理マスタ
(1)受注受付
受注は、得意先から注文書が電話、FAX、メール添付あるいはEDIで送られてくる。電話による注文の場合は、販売担当者が受注メモを作成する。
(2)新規取引先の調査
新規得意先に対しては、販売担当者が信用調査を行い、新規取引先登録申請書に信用調査資料を添付の上、上司の承認を得た後、販売審査部門に申請する。
販売審査部門の承認後、新規取引先申請書は営業担当者ならびに経理部門に引き渡される。
その後、販売担当者は当該顧客と販売基本契約(販売品目、販売価格、回収条件等)を締結する。
また、販売審査部門は、新規顧客情報を得意先マスタ(販売品目、販売価格、回収条件、与信限度額等)に登録するよう情報システム部門に依頼する。
(3)受注入力
受注受付後、一定時間ごとに販売担当者は、受注メモ又は注文書に基づき、販売管理システムに受注入力を行う。販売担当者は、受注入力の際、PCの画面上で入力が正しく行われたかどうかを確認している。
受注入力は、得意先マスタに登録されている得意先からの注文についてのみ入力することができる。
また、販売単価は標準単価か顧客ごとにあらかじめ決められている個別値引率の範囲で入力することができる。もし、その値引き幅を超える単価で受注入力するときは、販売責任者に値引申請書を提出し、販売責任者の承認のうえ、販売責任者が単価入力する。
(4) 出荷指図書および注文請書が出力
受注入力後、出荷指図書および注文請書が出力され、受注メモまたは注文書と一緒に販売責任者の承認が行われる。出荷指図書については受注メモまたは注文書を添付して出荷部門へ回付され、承認後、注文請書については得意先に郵送される。
販売責任者は毎日、販売管理システムの受注ファイルから受注リストを出力し、得意先ごとの受注価格は妥当か、異常または例外的な受注がないか確認し、承認印を押す。
(5)受注ファイル作成
販売管理システムでは、受注入力を行うと受注管理するために受注ファイルが作成される。受注ファイルは、売上入力が行われると自動で消込みが行われ、請求データに変換される。
受注方法
(1)受注方法に次のものがあります。
・電話による受注
・FAXによる受注
・顧客訪問時の受注
・EDI(Electronic Data Interchange)による受注
(1)電話で受注処理の間違い注意
顧客から電話で受注を受ける場合、顧客からの注文書という証拠資料が残らないですし、聞き取り間違いも起こりやすいため誤謬や不正が起こりやすいといえます。
そのため、後日必ず注文書を郵送か、FAXで入手するようにすべきです。
(2)電話等での受注処理間違い防止のツール
電話やFAXは聞き間違い、読み取り間違いが発生しやすいので間違えを発生させないような仕組みの導入を検討してもいいでしょう。
(例えばCTI:Computer Telephony Integration)の導入)。
(1)信用調査
新規顧客からの注文が入ったとき、販売代金の回収リスクを見積り、取引していい顧客かどうかを判断するために信用調査を行います。
具体的には、会社のHPや帝国データバンクや東京商工リサーチ等の信用調査期間から会社情報を入手し、事業履歴、事業規模、資本金、売上高、利益、代表者氏名などを把握します。
(2)取引条件の取り決め
取引開始をすることが決まったならば請求締日、決済条件、担保・営業保証金設定の有無、連帯保証人の設置、与信額等、商品代金が約定期日までに支払われなかったときの延滞利息・損害賠償金の計算方法、解約条件等を決定し、基本契約書を作成します。
なお、決済条件とは請求代金のうち、何割を手形で、何割を銀行振込でという支払手段にかかるものです。
(3)与信額の設定
与信額の審査・決定は販売部門とは別の部門が行うようにします。販売部門は売上を増加させるために与信をどうしても甘いものにしがちな傾向があるためです。
たまたま一時的に受注があったような取引先(一時取引先)については、顧客コードを設定する必要は実務上ないと考えられます。または、「999」のような「その他の得意先」として一括処理されることがよく行われています。
ただし、「その他の取引先」コード使用は不正や処理間違えが発生しやすいこともありますので、取引明細を紙に出力し、赤ボールペンで消し込みを行ってもいいと考えます。
また、できれば商品代金等を前受金でもらう、一時取引先の管理表を定期的に責任者がモニタリングするような仕組みにしておくのが必要でしょう。
(1)見積書の作成
見積書からシステムに入力し、成約した場合にはその見積データが受注システムに流れるようにしておくと業務の簡素化が図られます。通常の販売管理システムでは「連携入力」ができるようになっていると思われます。
また、成約に至らなかった失注した見積りの件数(組織別担当者別、得意先別、商品別)の金額及び失注率、並びに失注の原因分析することで自社の営業活動の改善点がみつかることが期待できます。
(1)原則
基本的に販売契約で取り決めた単価によります。
(2)顧客からの値引き要求
顧客が値引きを求めてくるときには、例えば営業スタッフであれば例えば標準価格の10%まで値引き可能、営業マネージャーであれば標準価格の20%まで値引き可能とした販売管理規程を設け、それに準拠した値引きであれば問題ないと考えられます。
あらかじめ、顧客別の個別単価を販売管理システムのマスタ設定している場合はのぞきます。
(3)得意先からの単価交渉
発注を10%多くするから商品単価を5%値引きしてくれいう臨時的な大口注文があった場合には販売責任者はその取引を受注したときの利益の増加額、粗利率への影響を考慮のうえ、承認することになります。