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ROEとは

 ROE(自己資本利益率:Rate of Return On Equity)とは、株主から拠出された資本をもとに株主に帰属する当期純利益をどれくらい生み出したかという株主の視点に立った投資効率の指標です。会社の規模とか効率などは無関係です。

 ROEは次の算式で計算します。
  =当期純利益/自己資本
  =純利益/売上高 × 売上高/総資産 × 総資産/自己資本
   (売上高純利益率) (総資産回転率)  (財務レバレッジ)

 ※自己資本とは純資産から被支配株主持分と新株予約権を控除した金額です。

ROEの特徴

(1)財務レバレッジが高いほど、ROEは高くなる
 財務レバレッジが高いということは負債が多いことであり、倒産リスクが高くなるということでもあります。

(2)ROEは単年度の業績評価指標
 そのため、ある年度で大規模な設備投資を行った場合、その年度の投下資本の額はそれだけ膨みますが、当期純利益は直ちに増えないので、ROEは悪化します。
 
(3)現在の日本企業の平均ROEは10%程度で、米国の大手企業は15~20%ぐらいだそうです。

ROEを高めるには

 ROEを高めるには上記の分解式(デュポンシステム)をもとにして、次の方法が考えられます。
 ①売上高に対する収益性を高める。
 ②少ない資産で大きな売上高を達成する。
 ③資本調達における株主資本の比率を下げる(負債を増加させる)。
 ④配当や自己株式取得を増加させる。
 ⑤法人税等を差し引いた当期純利益を用いるため、税務戦略の影響を受ける。

  ROEは事業を縮小して株主資本を減少させることにより、高めることができるので縮小均衡に陥らないようにするために、売上高成長率を評価指標に加えている企業もあります。

こんなときROEは低くなる

(1)利益が増加し、その多くを留保して株主資本が増加したとき。

(2)売上拡大で総資産が増加すれば総資産回転率は低下していく。

このようにROEが低下したときは、自己株式の消却、配当性向を高めることでROEを高めるようにするといいでしょう。

ROEの限界

 ROEについては次のような限界があるといわれています。
(1)計算式の分子は会計上の利益であり、会計政策の影響を受ける。

(2)分子から資本コストを控除していない。

(3)比率指標であり、価値額を表していないために、企業が縮小均衡に陥ってしまうリスクを伴う。

(4)税効果会計を適用した場合、連続性がなくなる。

(5)内部資本金制度を採用しない限り、事業部等に展開できない。

(6)自社株買い取りや他人資本調達により操作可能である。

ROEと資本コスト

(1)資本コストを用いた場合にはβ値(CAPM)により企業ごとの投資リターンのリスクが反映されますが、ROEではそうしたリスクが考慮されないため、投資リスクの高い企業のROEは実態より高めに出やすいと考えられます。

(2)資本コストの考え方が入っていないので、ROEを何%達成すれば株主の期待に応えられたといえるのかが不明確となります。