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貸借対照表のパターン

貸借対照表のパターン

(1)流動資産が多く、固定資産が少ない
  固定資産が少ないのは非製造業に多いパターンです。ただし、製造業でも製造を外注化、アウトソーシングしていれば固定資産は製造業一般よりも少なくなります。
 
 固定資産が少なくて事業が行えるというのは基本的には2つのパターンがあると考えられます
①設備を所有ではなく、外注・賃貸するファブレス型
 設備等を自社所有でなく、賃貸や外注などに依存すれば「身軽な経営」が行えます。
 つまり、不況で生産販売量が減少すれば賃貸・外注契約の解除を行い、景気が戻れば賃貸・外注の再契約等で事業に係る経費を固定化せずに、生産販売量に応じて柔軟化できるという意味です。
 そのため、設備等を自社所有するのと比較すると、リスクを減少させることができます。

②人が付加価値の源泉
 事業の付加価値が固定資産ではなく、人にあるというパターンです。このケースは具体的にはコンサルビジネス、ソフトウエア開発、法律・会計・税務サービス、組立型の製造業、小売業などがあげられます。

(2)流動資産は少なく、固定資産が多い
 固定資産が多いのは製造業に多いパターンです。特に大規模設備が要求される電気ガス、エネルギー、素材産業などでは有形固定資産の計上額も多くなります。ただし、製造業でも製造を外注化、アウトソーシングしていれば固定資産は製造業一般よりも少なくなります。

  有形固定資産等の計上額が多額になると、儲けを生む製品等を製造できないときの稼働率の低下や休止化により減価償却費が費用でなく、実質的には損失となる可能性も少なくないというリスクがあります。

  また、有形固定資産が多いということはそこから発生する人件費や減価償却費も多くなりがちです。人件費や減価償却費は固定費という性格を持つため、不況で製品等の生産販売量が減少しても、人件費等は基本的には減少しないため、業績が圧迫されやすくなります。

 ただし、企業の付加価値を生み出すのが有形固定資産等であることは間違いありません。

(3)負債は多く、純資産が少ない
負債は多く、純資産が少ないということは2つのケースが考えられます。
①事業投資に必要な資金を借入金や社債で賄っている
  資金調達を借入金等の有利子負債で行えば借入利息等の資金調達コストが発生し、損益計算書の経常利益を減少させます。一方、安全性比率といった財務指標も悪化させます。
  しかしながら、近年「資本コスト」というものが意識され始めた影響からか、M&Aなどの資金を資本コストが高い株主出資ではなく、有利子負債による資金調達を行う企業も増えています。

②毎年の利益がマイナスで「資本を食いつぶしている」
 純資産は株主資本とその他からなり、株主資本は単純化して言えば元手(資本金)と果実(利益剰余金)からなります。
 そのため、果実がマイナスだと株主資本の減少を通じて純資産も減少します。
 ただし、ROE(株主資本利益率)は当期純利益を株主資本(自己資本)で除したものですので、株主資本等が減少すればROEは増加します。

(4)負債は少なく、純資産が多い
 企業の業績が良く、毎年継続的に利益を蓄積し続けると株主資本の増加を通じて純資産が多くなります。
  負債が少なくなると、損益計算書に計上される支払利息等が減少し、当期純利益はさらに増加することに繋がります。また、財務比率である安全性比率も高くなり、社債の格付けも上がります。
  ただ、純資産が多くなると資本コストが高くなり、株主からのリターン要求も厳しくなるため、利益を出しても株価が上昇しない、むしろ下落するということもあります。