キャッシュフローも利益も、お互いに「儲かった」ことを現すという点では共通です。損益計算書の利益が増えたとき、あるいは金庫のお金が増えたとき「儲かった」と感じます。
端的に言いまして利益は儲かり具合の指標なのですが、利益が1000万円あったしても1000万円の買い物はできません。すなわち、利益が1000万円があがることとお金が1000万円あるかどうかは因果関係にはないのです。
利益を計算するには計上されるが、キャッシュフロー計算には関係ない(お金が出ていかない)費用項目として次のようなものがあります。
①減価償却費
②貸倒損失
③有価証券評価損
④減損損失
⑤賞与引当金等の引当金繰入額
⑥買掛金仕入の商品売上原価
また、利益を計算するには計上されるが、キャッシュフロー計算には関係ない(お金が入ってこない)収益項目として次のようなものがあります。
①売掛金売上の売上高
②売買目的有価証券の評価益
また、利益を計算するには計上されないが、キャッシュフロー計算には関係ある項目には次のものがあります。
①在庫仕入
②借入金の調達・返済
③固定資産の調達
④有価証券の購入
このように会計上の利益計算を行うためにはお金の収入と支出を調整することが行われており、そのため利益とキャッシュフローの額は食い違っていまいます。
では、キャッシュフローと利益どちらが大事かという問題にはどう答えれば良いでしょうか。その結論を言えば、どちらも大事です。
利益はお金を自ら稼ぐ力を現すといえます。利益の額がやがてお金になる額を決めます。ただし、売上と利益を上げることに目が行ってしまい、売掛金を回収することをきちんと行っていないと、売掛金は回収されず、あるいは回収が遅れて、本来であれば売掛金が回収されて入金される時期にお金は入ってこず、資金不足になってしまいます。
そのため、儲かるとは「利益を上げることを通じてお金を増やすこと」と定義して、利益を上げることをまず考え、次に、利益で物は買えないことを十分理解し、いかに利益をお金に換えるスピードを速めていくかについて注力すべきです。