(1)有形固定資産のプロセス
購入、計上、利用(減価償却費、修繕費、事業所間移動)、売却・廃棄、減損などがあります。
(2)購入プロセス
①有形固定資産の範囲
・1年以上使用される財貨
・取得価額が一定額(税法では10万円)以上の資産
・償却資産と非償却資産とに区分される。
・利用により資産の費用化がなされる(建設仮勘定、土地以外)
②有形固定資産の取得原価の決定
・購入時の取得費用にはどこまでの費用を含めるのか
・資産除去債務の取扱い
・借入費用の資産原価算入
③いつの時点で取得として認識するのか
・搬入時、検収時、試運転完了時
・取得時期は減価償却開始時期に影響を与える。
(3)利用プロセス
①減価償却費の計上
・減価償却の考え方はどういったものなのか
減価償却とは固定資産の取得価額の費用配分手続
・耐用年数はどう決めればいいのか
・残存価額はどう決めればいいのか
・減価償却方法はどう決めればいいのか
②固定資産にかかる支出は資本的支出か収益的支出(修繕費)か
1)資本的支出
資産の経済的価値を高める支出であり、改良と判断され、取得原価に含める。
2)収益的支出
資産の機能を維持するための支出であり、修繕費等の科目で費用処理する。
③固定資産の臨時損失
災害等で有形固定資産が物理的に滅失した場合に,滅失した部分に相当する部分を損失計上するのが臨時損失
(4)減損
①減損会計とは
②減損会計の適用方法
・資産のグルーピング
・減損の兆候の認識
・減損の認識
・減損損失の測定
固定資産は次の3つに区分されます。
(1)有形固定資産
(2)無形固定資産
(3)投資その他の資産
(1)定義
1年以上使用することを目的として所有され、物理的形態があり、その金額が 一定金額以上の資産をいいます。通常の営業過程において使用を目的として長期的に保有される資産です。
換言すれば販売を目的に短期的に所有する資産ではありません。
(2)有形固定資産の科目
代表的な有形固定資産の科目は次の通りです。
①建物
②建物付属設備
建物そのものではなく、建物に取り付けられたものであり、建物の機能を高めるという機能をもつものです。
・電気設備、給排水設備等
・冷暖房設備、照明設備、エレベーター設備等
・消火設備、ドアー自動開閉設備、アーケード、可動間仕切り等
③構築物
④機械及び装置
⑤車両運搬具
⑥工具器具備品
⑦建設仮勘定
例えば工場等を建設するときに様々な支出を工場の完成時までいったんプールするときに使用する科目です。工場の完成時には建設仮勘定の残高を建物等の本勘定に振り替えることになります。
⑧土地
※有形固定資産を取得したときにどの科目(建物、構築物など)で会計処理するかは時折問題となります。
例えば建物付属設備で処理するのか、建物あるいは構築物で処理するのかによって耐用年数が異なり、その後の損益計算に影響を与えるからです。
また、(設備)予算の策定や執行にも影響が及ぶ可能性があります。
上記の建物付属設備の項目として掲げました可動間仕切りも当初から建物と一体として建築されていれば建物勘定で会計処理を行います。
(3)資産価額の費用配分
固定資産の利用により全体的・価値的に費用が生じるので、消費数量の明確な把握が困難であるため、取得原価を一括して費用配分するしかありません。それが減価償却です。
有形固定資産の取得原価の決定
(1)有形固定資産の取得原価には購入代価に購入に要した付随費用(引取運賃、荷役費、据付費など)、事業供用費用(試運転費用、技術指導料など)を含めます。
(2)取得の態様に応じた取得原価の決定
①購入
②自家建設
適正な原価計算に従って計算した製造原価をもとに決定します。
③現物出資
出資者に対して交付された株式の発行価額をもって決定します。
④贈与
受入資産の公正な評価額によって決定します。
時価と異なる価額で取得した場合は、税務上、時価と取得価額との差額が寄付金または受贈益として認定されることがあります。
(3)資産除去費用の取扱い
「資産除去債務に関する会計基準」(企業会計基準18号、2008年3月)により2010年4月以後開始事業年度から、資産除去債務の会計処理が適用となり、資産除去債務に対応する除去費用が有形固定資産の取得価額として算入することになりました。
(4)借入費用の取扱い
IFRSの場合、一定の要件を満たす場合には借入費用の資産化を行うことになります。