(1)回収業務の目的
売上債権(受取手形、売掛金)を期日どおりに全回収し、期日に入金されなかった金額があった場合にはその事実を把握し、速やかに催促等を行うこと。
(2)回収業務の内容
・請求業務により顧客に請求書の送付
・回収予定表(期日別、金融機関別等)を作成
・顧客からの入金(営業マンによる現金回収、銀行振込、クレジット会社からの回収、買掛金との相殺等)
・入金伝票の作成
(3)回収業務に係る勘定科目
・現金預金
・売掛金、受取手形
・買掛金
・支払手数料
(4)回収業務に係る帳票等
・期日別入金予定表
・金種別入金予定表
・入金一覧
・回収残ファイル(いつまでも出荷されずに残っている回収はないか)
(5)回収業務に係る規程等
・販売管理規程
・与信管理規程
・職務分掌規程
・得意先との販売契約
(6)回収業務に係るシステムとマスタ
・FB(ファームバンキング)
・価格マスタ
・顧客マスタ
・契約管理マスタ
(7)回収業務に係るデータ項目
・入金データ
・得意先ごとの売上債権データ
次の項目を取引先ごとにあらかじめ取り決めておく必要があります。
(1)回収期日(回収サイト)
いつ売掛金を回収するのかという期間のことです。
(2)入金方法
①得意先ごとに振込、代引き、現金払いかを決めます。
月額が基本の場合、月額・3ヶ月・半年・年払いかを決めます。
②手形入金の下限金額を決めます。
例)手形は1回の支払が100万円以上で、それ未満の金額は銀行振込とするなど
売掛金の入金では最も煩雑な作業が入金消し込みです。取扱商品等が多品種であれば請求明細ごとに入金がなされたものを消し込んでいかなければなりません。単純に古い売掛金から消し込んでいけばいいというものではありません。
そのような消し込みを行うことによって、請求額と入金額とが異なるとき、いつのどの請求明細の分が入金されなかったを把握することができます。そして、入金違算明細を作成し、どのような理由で入金されなかったかを調査します。
その結果、請求額と入金額との違算の発生理由が自社にあるならその原因を調査し、繰り返し同じことが起きないよう業務を改善してきます。また、得意先にその違算原因があるなら、得意先に再請求を行うという作業を行っていきます。
(1)自社に理由がある場合
・品質不良の製品等を出荷してしまった
・請求書の発送が遅れた
・請求期間を間違えて請求してしまった
・出荷した製品等とはサイズ、色違いの製品番号で請求してしまった
・自社の製品等コードが得意先の製品等コードに正しく変換されなかった請求分があった
・単価の改定がもれてしまい、旧単価で請求していた
・入金処理間違い(計算違い、口座誤り、入金二重処理等)
・返品の処理もれ
・得意先は入金しているのに代金の着服等の不正があった
・リベート金額、値引き金額、不良値引きの計算誤り
・試供品、サンプル品の出荷分を請求していた
(2)得意先に理由がある場合
・検収が遅れて翌月まわしにしていた
・部品の販売の場合、当該部品を使用する製品の生産中止を決定したのもかかわらず、当該部品の発注をしていた
・購入予算を購入実績が超えたたため、検収を遅らせている
・製品コードを改定したが、その通知を発送してなかった、あるいは発送が遅れた
・単価改定通知を発送していなかった、あるいは発送が遅れた
・リベート、値引き金額、返品処理の通知もれ
・当初の入庫はサンプル品として処理していた
勝手払いとは請求額にかかわらず得意先が購入金額の一部を振り込んでくることです。例えば請求額が3,472,000円のとき1,000,000円を支払ってくるものです。
こうした勝手払いの場合、請求明細と対応する入金ではないので通常は売掛金の消し込みができません。そのため、仮受金で処理し、決算時の貸借対照表作成においては売掛金残高から控除すべきです。