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原価について考える

企業が儲かるためには

 企業が利益を計上し、継続的に企業価値を増加させていくためには次のことが必要となります。
①製品ごとの利益を算出し、儲かる製品と儲からない製品とを把握する。そして、儲かる製品は販売数量を増やし、儲からない製品はコスト削減を行うか、生産を中止する。

②同時に貢献利益率が高い顧客には販売数量を増やし、貢献利益率が低い顧客には値上げを提案し、貢献利益率がマイナスの顧客とは取引を中止する。
ただし、今後の利益率増加が見込まれる製品や顧客とは現状の利益率に係わらず取引を継続する。

 そして、重要なことは、上記の意思決定ができるためには次の2つの大きな前提条件があることです。
・製品ごとの利益が十分な合理性をもって算出できること。
・顧客ごとの貢献利益が十分な合理性をもって算出できること。

製品ごとの利益が十分な合理性をもって算出できるには

 製品ごとの利益が十分な合理性をもって算出できることとは、製品ごとの「原価」が十分な合理性をもって算出できることと同じです。
 ですが、現実に行われている原価計算は財務会計に役立つことが目的で貸借対照表上の会社全体の棚卸資産残高を算出することが主目的となっていることが多く、経営管理のための意思決定に必要な原価を計算するものとはなっていないことが多いと思われます。

 すなわち、原価には「間接費」(例えば工場長の給与)のように製品の生産量とは直接に跡づけられない費用や、工場建物の減価償却費のように製品の生産量に係わらずあらかじめ決められた額が発生する「固定費」があるため、「正確な原価」というものは把握できないためです。

顧客ごとの貢献利益が十分な合理性をもって算出できることには

 顧客ごとの貢献利益が十分な合理性をもって算出できることとは顧客ごとに粗利益(=販売価格-製造原価または仕入原価)を算出している会社は多いかもしれませんが、その顧客に係わり発生する原価をすべて把握して、それらを加味したところの「貢献利益」を算出している会社はあまりないのではないでしょうか。

 すなわち、顧客ごとには粗利益を算出はするが、顧客ごとにかかる営業費用等を把
握して粗利益から営業費用等を差し引いたところの貢献利益は算出していないということです。
 
 なぜ、営業費用等を算出するかといいますと、顧客ごとに取引条件(返品条件、売上代金回収期間等)が異なるからです。
例えば顧客への販売手続が煩雑で色々な作業を要したり、小口多頻度配送を要求されたり、品質基準が厳しく、ちょっとした瑕疵で返品を行ったり、また、売上代金の回収期間が長いといったような顧客では、通常よりも多くの人件費、運送費、返品コスト、支払利息等がかさんだりします。

 そのため、もし、そうした取引条件が厳しく、色々な意味でコストがかさんでいる顧客があれば、一度その顧客特有にかかる営業費用等を算出し、貢献利益を把握するのも非常に重要なことと指摘できます。

まとめ

 話が長くなりましたのでまとめますと、原価(製品原価、顧客原価)を把握できないと製品ごとの販売利益、顧客ごとの販売利益が計算できず、企業の利益確保及び増加の手立てが打てないことになります。
 ですが、原価には固定費や間接費があるため、製品別・顧客別の原価を計算することが非常に難しくなっているということです。

原価とは(総論)解説動画