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売上返品・値引き業務

売上返品・値引き

 売上返品および売上値引、両者とも売上金額の減額であり、望ましい取引でないことは共通しています。
 ただし、売上返品は財貨の移動を伴いますが、売上値引は財貨の移動は伴わないという点では異なります。

 両者ともある意味では「異常な取引」(書籍販売業等は除く)ですので、組織・品目・営業担当者・得意先ごとに発生額の推移等を把握し、問題点があればその原因と解決策を探求していくことになります。
 また、この両者には売上代金の着服という不正取引が介在する余地がありますのでその点も留意すべきです。

売上返品

売上返品業務の概要

(1)売上返品業務の目的
 得意先からの正当な理由による返品処理を上長の承認のもとに処理する

(2)売上返品業務の内容
 ・返品物の引き取り
 ・在庫計上(良品の場合)と売上戻り計上
 ・返品物の補修(補修後販売可能な場合)
 ・廃棄処理(販売不能な場合)

(3)売上業務に係る勘定科目
 ・売上高
 ・売上返品高
 ・棚卸資産

(4)売上返品業務に係る帳票
 ・返品日報
 
(5)売上返品業務に係る規程
 
(6)売上返品業務に係るシステムとマスタ
 ・返品ファイル
 ・売上ファイル
 ・在庫マスタ

売上返品にかかる業務ルール
・出荷後返品を認める日数
 ・返品物に損傷があった場合の得意先への請求
 

売上返品が生じる理由

(1)自社理由
 ・出荷製品等の品質不良、性能不良
 ・出荷製品の仕様間違い
 ・営業ノルマ達成のために押し込み販売を行ったための翌期返品

(2)得意先理由
 ・購買予算オーバー
 ・在庫過剰

得意先の勝手返品に対する対応

(1)顧客から返品の要求があった場合、返品理由が関連法規や販売基本契約に違反していないかどうかを確認する必要があります。
 また、販売基本契約に返品に関する条項がなければ例えば「返品は納品後2週間までに限る」等の項目を入れるよう検討すべきでしょう。

(2)返品がなされた場合、製品等に損傷や使用の痕跡がないかどうかを確認し、廃棄処分するしかないほど傷んでいたなら損害賠償することも検討すべきです。

売上返品の会計処理

 それぞれの単価をどうするかという問題があります。
(1)売上戻り処理
 その顧客への出荷したときの販売単価

(2)返品受入処理
 その顧客へ出荷したときの売上原価

売上値引

売上値引プロセスの概要

(1)売上値引プロセスの目的
 売上値引が正当な承認手続を経てなされていることを確認する

(2)売上値引プロセスの内容
 売上金額を何らかの理由が生じたことに起因して減額する
 
(3)売上値引プロセスに係る勘定科目
 売上高または売上値引き額、売掛金
 
(4)売上値引プロセスに係る帳票
 売上値引伝票、売上値引リスト

(5)売上値引プロセスに係る規程
 販売管理規程
 
(6)売上値引プロセスに係るシステムとマスタ
 特になし 

売上値引きにかかる業務ルール

・値引き額の算定ルール
 一定期間の販売数量、一定品目の販売数量など
・得意先の特別値引きの承認ルール
 一定金額以上、品目別粗利がマイナスとなるような特別値引き

売上値引きが生じる理由

(1)自社理由
 ・受注量に対して出荷製品の数量過大(過小)
 ・出荷製品等の軽微な瑕疵
 ・他社製品等との実勢価格をあわせる
 ・その他様々な得意先からのリベート要求

(2)得意先理由
 ・購買予算オーバー
 ・在庫過剰

売上値引に関連する取引

(1)売上割戻し
 一定期間に多額または多量の取引をした得意先に対する売上代金の返戻額のことです。

(2)リベート
 本来は売上割戻と同じ意味なのですが、実務では売上割戻より広く使われています。

(3)単価訂正
 他社製品と実勢価格をあわせる、自社で新製品を販売したため価格を引き下げることです。

(4)売上割引
 得意先があらかじめ定められた支払日より早く売掛金を支払ったときの減額分のことです。日本の会計基準では売上高のマイナスではなく、営業外収入に計上します。ちなみにIFRSでは売上高のマイナス処理です。